wood  帯広・池田  wood

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朝6時頃目が覚めた。雨はすっかり上がっている。昨日みたいな霧もかかっていない。でもやっぱり青空は見えない。
急いで出発する理由もないので気分がゆっくりしている。そうだ、散歩に行こう。駐車場からキャンプ場へ歩き出す。この時間に起きている人はまだ少ない。バイクのキャンパーが多いのか、キャンプ場には一人用の小さなテントが多いようだ。
昨日登った日の出公園の展望台に続く坂道を上がっていく(昨日は表から、今日は裏からである)。登るに従って視界が開けていく。十勝の山並みが見えてきたが、てっぺんは雲がかかっている。今日も登山は無理だろう。展望台に近づくといい香りがする。ラベンダーの香りだ。昨日はそんなに感じなかったのに・・。深呼吸してみる。すがすがしい気分である。
今日はどこへ行こうか考える。元々今回の旅行の一番の目的地は、私が一番北海道らしいと感じる道東である。よし決まった今日は東へ進もう。距離的には帯広もしくは池田ぐらいまでいければよいか。少し頑張れば釧路までは行けるが、今度の旅はゆっくりすることが目的でもある。急ぐ必要はない。
駐車場に戻り車をスタートさせる。昨日通った道をたどり富良野まで抜ける。朝早いので交通量は少ない。そのまま富良野市街をぬけ、国道38号線(通称狩勝国道)で帯広を目指す。富良野をすぎてしばらくしたら子供たちが起きてきたので、もう少し車を走らせたところにあった「道の駅南富良野」に立ち寄り朝食をとる。 photo1

道の駅南富良野

朝食といっても例のごとく駐車場の片隅にテーブルを出しての屋外朝食である。メニューは昨日スーパーで買ったパンである。買ったパンはフランスパン。ちぎってバーナーで焼き直し、皮をかりかりにする。それにバターをつければすごくうまい。さらにちょっとおしゃれに朝からワインなどを飲む。
朝食を終え、また車を走らせる。まもなく「狩勝峠」である。天気は相変わらず良くない。雲が重くたれ込めている。車の高度が上がるに従ってどんどん雲が近づいてくる。ついに霧の中に入ってしまった。狩勝峠から眺める帯広平野の眺めはきれいだと聞いていたので残念である。でも霧では仕方がない。ノンストップで狩勝峠を走り抜ける。
帯広平野へ降りてきた。新得町を過ぎ、清水町にはいる。町役場の前に清水中央公園というきれいな公園ができており、カリヨンのついた立派な時計塔が建っている。毎正時にメロディーがなるらしいが、残念ながら今は10時半。 photo2
しかしこのモニュメントの鐘は自分で鳴らすことができる。 モニュメントの前に腰の高さぐらいの銀色の棒が並んでいて、その上部がボタンになっており、それを押せば鐘が鳴る仕組みだ。試しにドレミの歌など弾いてみる。ちゃんとベルの音が鳴り響く。結構大きな音である。観光客がみんな鳴らしたら近所の人はやかましくてしょうがないだろう。
さてここで今日のねぐらとしてめぼしをつけておいた「まきばの家オートキャンプ場」に電話をする。ガイドブックによると温泉も近くにあって、なかなか良さそうなキャンプ場である。電話をしてみると、先着順に受け付けるとのことであったので、とりあえず後で行ってみようと決める。
私たちは再び帯広へ進路を取ることにする。清水町からは道東自動車道にのる。この高速道路も10年前にはなかったものである。帯広までは残り30km程度なので下の道を行ってもそんなに時間が変わらないだろうけど、初めて通る道だし、まぁいいか。
天気が悪く、そんなに遠くまで視界があるわけではないが、それでも十勝平野の広々とした風景が車窓に広がる。20分足らずで帯広のインターチェンジにつく。そこから南下して帯広市街にはいった。駅前に行ってみると10年前よりずいぶんきれいになっている。たしか10年前は地上駅だったはず。今は立派な高架駅になって、駅前もずいぶん整備されている。といっても今は特に駅に用事があるわけでもない。
国道に戻り、国道沿いのラーメン屋で昼食をとる。帯広といえば「豚丼」。というわけで豚丼とラーメンのセットメニューを注文する。豚丼とはたれでつけ込んだ豚肉を焼いてご飯の上にのっけたものである。たれがご飯にしみわたり、なかなかうまい。
ここで母ちゃんが「ケーキを買いに行きたい」という。確かに帯広は小豆やバターなどの原材料に恵まれているのでおいしいケーキ屋さんが多いと言われている所だ。別に異議はない。今日の予定ではこの後、池田町のキャンプ場に向かうだけである。時間はたっぷりある。
再び帯広市街に戻り、母ちゃんが「るるぶ」で見つけた「マインド」というケーキ屋さんに向かう。北海道の大きな町は、碁盤の目のような作りのところが多いので、地番表示に「西15条13丁目」とか縦横の通りに数字を当てているところが結構ある。 帯広もそうなので目的地を見つけるのは案外たやすい。「マインド」にも迷うことなくたどり着いた。
中に入ってケーキを物色する。最初に気付いたことはケーキがとても安いことである。ショートケーキは180円のものが種類多く揃っており、高くても250円程度である。京都では最低でも250円ぐらいからなのに・・。こうゆう値段を見ると嬉しくなってしまうのが貧乏人の証拠であろうか。奈菜はお決まりのチョコのショート、駿一はこれもお決まりのイチゴのショートを指さして、「これにするー」と叫んでいる。場所があればここで食べていっても良いのだが、ここは普通のケーキ屋なのでそんな場所はない。お持ち帰りとし、3時のおやつにキャンプ場で食べることにする。
この後はまっすぐ池田町に向かう。池田町は帯広の東約20kmぐらいのところにある。北海道では普通に走れば15分で着く距離である。池田町に着くとそのまま「まきばの家」に向かい、オートキャンプの受付を済ませる。時間が2時過ぎと言うこともあって、先にはまだ3組程しか来ていないようだ。キャンプの料金はオートキャンプで約2500円。本州ではどんな設備の整っていないところでも5000円以上とられることを考えるとやっぱり安い。北海道ではオートキャンプにこだわらなければ無料のキャンプ場も結構ある(昨晩駐車場で野宿した日の出公園のキャンプ場も無料)。
キャンプ場内はやはりがら空きである。今なら好きな場所をとることができる。おまけにこのキャンプ場はフリーサイトなのでテントやタープを自由にレイアウトできる。だからなるべく平らなところで、雨に備えて水はけの良さそうなところを選ぶ。さあテント設営である。母ちゃんも最近要領を覚えて、手伝えるようになってきた。子供達はまだまだ戦力ではないが、ペグを地面に打ち込んだりして手伝った気になっている。3時頃には設営完了。さて一服しよう。
帯広で買ったケーキでアフタヌーンティーを楽しんだ後は、このキャンプ場から車で5分のところにある「ワイン城」の偵察である。ワイン城は簡単に言えばワイン工場である。 ただ小高い丘の上にあり、外観が西洋のお城っぽくなっているところが普通の工場と違うところだ。また、最上階には「レストラン十勝」があり、十勝牛の肉を使った料理を食べることができる。私たちの本当のねらいはこのレストランだったりする。
駐車場に車を入れようとしたとき、また雨が降ってきた。どうも悪天候からは逃げられないようだ。ワイン城の中に入ってみたが、工場は稼働していなかった。またお楽しみの試飲にしても一種類のワインしかなく、ちょっとがっかり・・。
最上階に上がってみると、窓の外に展望が開ける。雨に煙っているとはいえ、十勝平野が大きく広がる。さぞ晴れていたら素晴らしい景色のことだろう。横を見るとお目当てのレストランがある。だがまだ入る気はない。時間はまだ4時である。でも来たついでなのだからと店の人に今晩の予約はできるかと訊ねる。すると今晩は地元の団体の予約が入っており、店の半分は貸し切りとのこと。込むことが予想されるから予約はできないという返事である。
それならばのんびりしてられない。でも食事の前には風呂に入りたい。ということでまずは温泉に向かう。
外に出ると本降りになっている。でも今は気にしている場合ではない。ワイン城とキャンプ場の中間あたりにある「清見温泉」という温泉に向かう。この温泉は湯の色が有馬温泉の湯のように鉄分を多く含んでいるのか、赤い湯である。でもこの方が昨日の温泉のように無色より温泉らしい気がする。さっきまでの焦った気持ちも忘れてゆったりした気分になってくる。
今日のお風呂のパートナーは駿一である。奈菜は湯船につかるまでに時間がかかるが駿一はそんなことはない。ちょっとぐらい熱くても平気で入ってくる(でもやっぱり熱い湯は好きではないらしい)。それに汗の量もすごい。温泉に浸かってしばらくすると顔中汗だらけである。見ている方が暑苦しくなってくる。
さて今日も1時間ばかり温泉にいただろうか。時間は5時過ぎである。さあいよいよ食事に行こう、というわけで再びワイン城に戻る。
満員だったらどうしようと思いながらレストラン十勝のドアを開けると、何のことはない半分以上席が空いている。が、窓際の席は残り一席。このレストランは景色がよく見えるように窓を大きくとってある。今日は景色がよくないが、それでも窓際がよい。そこで一席残っていた窓際のテーブルに腰掛ける。
注文するのはこれもガイドブックでチェック済みの「牛一頭コース」である。これはヒレステーキ、サーロインステーキ、タンシチュー、テールシチューなど牛のいろんな部分がセットになっており、 さらに牛の形のお皿に、それぞれの部位に応じた位置に盛られて出てくる。例えばテールシチューはお皿のしっぽの部分に盛られる、というふうにである。
飲み物も注文する。「清見」という赤ワインである。普段千円程度のワインしか飲んでいない私たちとしては四千円もするこのワインは超豪華である(その後の調査で市中で買えば2500円のワインであることがわかった)。
さて食べてみよう。子供達はシチュー類をあまり食べないので、ステーキを中心に狙ってくる。もともとそれぞれそんなに大きい肉ではないのでステーキは親が食べるまでもなくみるみる無くなっていく。仕方がないので親はシチューで攻めてみる。
photo3 テールシチューはすごくうまい。脂身がゼラチン状になっており舌の上でとろけるようである。タンシチュー、これもテールシチューほどではないがうまい。 でも脂がちょっと少ないぞ。ワインも料理のせいか、値段の先入観のせいか、とてもおいしい。みんながつがつ食べている。アベックだったらきっとムードよく食事できるのであろうが、今の我々は窓の外にほとんど目を向けることなく、とにかく食べていると言った感じである。

牛一頭コース認定証

食事が終わり、牛一頭を食べたことを証明する通しナンバー付きの「認定証」をもらって今夜のごちそうは終了である。
外に出てみると雨はほとんど上がっている。キャンプ場に戻ることにする。キャンプ場に戻れば、次は子供達のお楽しみの花火である。大きめの袋の花火を買っていたので、いっぺんに全部無理かなと思ったが、子供達にせがまれているうちにあっと言う間に無くなってしまった。それにしても花火の煙に燻されていた風下のテントの方々、どうもすいません。
さて花火が終わればもうすることはない。寝ることにしよう。久々に家族四人が枕を並べる。明日は晴れるか。いや期待するのはもうやめよう。それではお休みなさい。

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