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今日も6時頃目が覚めた。まずは恒例となった天候確認である。雨はやんでいるが、雲は重く垂れ下がっている。でも雨が降っていなければとりあえず上出来である。少し心が軽くなる。軽くなりついでに温泉に行くことにする。子供達はまだ寝ているので、母ちゃんには申し訳ないが私一人で浴場にでかける。 |
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浴場に着くと、早朝だというのに大勢の人が入っている。湯船に体を沈める。ゆったりした気分になってくる。いつもお風呂は子供と一緒だから、どうしても子供のペースで浸かったり上がったりしているが、いまは私一人である。網走湖を眺めながらゆっくりと体を浸す。とても贅沢な一瞬である。北海道に来て良かったとしみじみ思う一時であった。 |
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部屋に戻ると子供達は起きていた。まもなく朝食の時間である。私もお風呂に入ったせいか、猛烈にお腹がすいてきた。それでは食堂に行こう。朝食は昨日と同じバイキングである。バイキングの中味までほとんど一緒である。まあ贅沢は言わないでおこう。 |
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朝食を食べ終わったら荷物をまとめて出発だ。今日は知床半島の「ウトロ」を目指すつもりである。今晩は雨の降る心配が無いようなので、宿を確保しておく必要はないだろう。ウトロには公共温泉浴場がそばにあるキャンプ場があるのでそこで野宿すればよいだろう。 |
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網走市街を走り抜け、オホーツク海を左に見ながら国道244号を走る。しばらく走ると右手に濤沸湖が見えてきた。緑にあふれていて、湿原のように見えるきれいな湖である。このあたりには「小清水原生花園」があるはずだ。どんなガイドブックにも載っている有名なところだが、情報では最近花の数がめっきり減って、全然きれいじゃなくなったという話である。そこで今回、ここには寄らないことにする。ここより少し知床方面に行ったところにある斜里の町より、少し知床よりにある「以久科原生花園」の方がきれいということなので、そこを本日最初の訪問地と決めた。 |
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斜里の町を少し過ぎたあたりを左に曲がり、海へ向かってまっすぐ進む。ほぼ海沿いの突き当たりに以久科原生花園がある。小さな駐車スペースがあるだけのこじんまりとしたところで、駐車場のすぐそばにはエゾカンゾウがたくさん咲いている。しかしこれだけ密集しているって事は原生ではなく、誰かが植えたものかもしれない。 |
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原生花園の遊歩道は、ここより右手の方にあったのでそちらに行くことにする。この遊歩道沿いには原生花園らしく、花が自然な感じで咲いている。しかし数は思ったより、というか全然多くない。ちらほら咲いている、という程度である。時期が悪かったのだろうか、それとも小清水原生花園のように花が減ってしまったのだろうか。どちらにしてもちょっと残念である。 |
以久科原生花園にて
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国道244号に戻りウトロを目指す。道は再び海沿いを走り出す。そろそろ知床半島にさしかかってきたようだ。海の様子を見てみる。一見したところ波は静かそうである。今日ウトロで知床観光船に乗るつもりなので、海の様子が気になる。知床半島のオホーツク海側は絶壁が続く景勝地なので、船からの観光が一般的である。でも私は今まで乗ったことがない。今回の旅行で楽しみにしているイベントの一つである。 |
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しばらく走ると、道の右側に、駐車場が見えてきて、観光バスなどが止まっている。「そうだオシンコシンの滝があった」知床八景の一つ、オシンコシンの滝である。先を急ぐ理由はないので早速立ち寄ることにする。 |
オシンコシンの滝
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オシンコシンの滝は、駐車場からほんの少し登ったところにあった。間近で見ると岩肌の上を広がるように水が落ちていき、その水量も多いので迫力がある。涼しさを味わって(といっても元々気温自体が低いのだが)駐車場へ戻る。 |
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さて次はいよいよウトロである。車を走らせていくと、ウトロのシンボルというべきオロンコ岩が見えてきた。ウトロの町では、まずは観光船の時間を調べることが必要である。乗り場とおぼしき方向へ行くと、途中に観光船の看板を出している店が2軒程見受けられる。しかし、まずは一般的に「知床観光船」と呼ばれる一番大きな船を運行している会社に行ってみることにする。カムイワッカの滝まで往復の便の出発時間を調べると、次の便は12時30分である。今は11時だから時間には余裕がある。係りの人に海の様子を聞いてみるが、今日は荒れていないとのこと。一安心である。 |
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次にさっき通った2軒の観光船の店に行ってみることにする。1軒目はクルーザーという大きめのモーターボートで運行しているらしいが、次の12時30分の便は欠航だという。理由を聞くと、海が荒れているという。知床観光船の切符売り場で聞いた話と違う。訳が分からなくなってきた。 |
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こんがらがった頭で次の店に行く。この店はクルーザーと漁船タイプの2隻を運行しているらしい。何よりまず海の具合を聞かなければならない。「今日は海は荒れてませんか」「大丈夫だよ」「あそこの店では海が荒れているから欠航って言ってましたよ」「あそこの店はあんまりやる気がないからねぇ」「???」よく分からないが、2対1で今日の海は荒れていないのだろう。さっき道路から見た海もあまり荒れていなかった。 |
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その店の観光船の詳しい説明を聞くことにする。ここの観光船は小さいから小回りが利いて、崖のそばまで近寄ることができる。だから滝などを間近に見ることができる。漁船タイプは所要1.5時間だが、クルーザーは速いので1時間で見て回れる。値段は知床観光船と変わらない。等である。 |
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話を聞いて、こちらの方が知床の自然を間近に見られそうなので、この店のクルーザーに乗ることにし「乗船チケット」を購入する。出発は知床観光船と同じ12時半である。 |
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出発までの時間、ウトロ見物と食事でもすることにしてその店を離れた。まずはぶらぶら周辺を歩いてみる。小さな町なので、特に何もない。仕方がないので目についたおみやげ屋さんに入ることにした。 |
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あまり大した物はなかったがぬいぐるみの「クリオネマスコット」が置いてあった。奈菜が気に入ったようなので買ってやることにする。不公平にならないように駿一にも何か買ってやることにし、隣の木工芸のおみやげ屋さんでガラスでできた「クリオネの首飾り」を買った。大きさや形、色使いをリアルに再現したものだ。このクリオネぬいぐるみマスコットは奈菜の胸で、クリオネガラス首飾りは駿一の首で、北海道旅行の間中揺れ続けるのであった。 |
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クリオネマスコット
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クリオネペンダント
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さて他に見るものもなくなったので、食事することにする。さっきの観光船の店の近くに「知床かに乃家」という回転寿司の店があって、寿司以外も食べられるみたいなのでそこに寄ることにする。頼んだのは、うにいくら丼と特製かにラーメンである。うにいくら丼、特にうに丼は北海道にいる間一度は食べようと思っていたもので、期待通りとてもおいしかった。でも比較するとやっぱり小樽の寿司屋のウニの方が旨かった気がする。特製かにラーメンは塩ラーメンの上にカニやコーンがのっているもので、これもなかなかおいしかった。奈菜はこれで塩ラーメンがすっかり気に入ってしまった。 |
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食事を終えると12時20分頃になったので、観光船の店に戻る。観光船に乗るお客が集まってから、「ウトロ港」に係留してある船まで案内してくれるらしい。先に漁船タイプに乗る人たちが出発していく。船の大きさのためだろうか、クルーザータイプの客は10人足らずなのに対して、漁船タイプのお客さんは30人ぐらいである。 |
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続いて我々も移動である。5分ぐらい歩いて港に着いたが、ざっと見渡してもクルーザーは見えない。どうやら岸壁に横付けされている漁船の向こう側に係留されているらしい。漁船を渡って乗り込んだのだが子供連れは足下のふらつくなか、子供を抱えての乗船なので結構大変である。船そのものは外洋クルーザーでなかなかきれいな船である。キャビンの中とキャビンの外の後部デッキに席があるが、景色が良く見えそうな後部デッキの席に座る。 |
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さて出発である。港内はゆっくりだが、港を出ると一気にスピードが上がった。船首がグンと持ち上がるのが分かる。駿一は「速いねー」と喜んでいる。心配した波は静かで全然大丈夫である。しばらく行くと先に出発していた漁船タイプの船を追い抜かす。圧倒的な速度差である。 |
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おやっ、あちらの客は皆救命胴衣を身につけている。あちらの船の方が転覆する危険が高いのか、こちらの着けていないのが無謀なことなのか。母ちゃんは「なんでこっちは着けないのよ」とかいって不満そうである。まあ今日は波も静かだからひっくり返ることは無いでしょう。 |
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船の右舷には知床半島の断崖絶壁が始まっている。雲が重くたれ込めているので、崖の上の方は雲がかかってはっきり見えない。言い換えると雲がかかるほど高い断崖という事だ。船は断崖に近づいていく。断崖の上から流れている細い筋が目にはいる。船はスピードを落とし、崖のすぐそばまで近づく「これが乙女の涙です」船長のアナウンスがある。この滝は陸側からも見ることができるらしいが、周りの断崖を見ればここまで来るのが大変なことが分かる。熊の危険もあるらしい。やっぱり船が一番楽ちんである。 |
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船がスピードを落とすと、周りにはカモメが寄ってきた。大変な数である。どうやら観光客から餌をもらおうと思っているらしい。横に座っていた家族がお菓子を投げると、カモメは慣れた様子で器用に空中でキャッチする。船は再びスピードを上げて次のポイントへ向かおうとしている。するとカモメはあきらめずについてくる。さらにスピードが上がった。もうカモメはついてこれない。きっとカモメは悔しい思いをしているだろう。 |
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次のポイントは「男の涙」である。これは乙女の涙より、さらに細い筋のような滝で、海に被さるように突き出した崖の岩肌から水がしみ出すように流れ出ている(後で調べたら水量が豊富な滝が別にあるらしい)。この男の涙も陸上より眺めることができるそうだ。しかし乙女の涙より危険で大変な道のりらしい。しかしこの崖までやってくるとは、ちょっと信じられないというのが感想である。 |
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さらに船は断崖沿いを進んでいく。途中象岩 (名前の通り象の形に見える)や天然記念物の「オジロワシ」を見ながらカムイワッカの滝に近づいていく。遠くにカムイワッカの滝が見えたと思ったその時である、急に船の速度がガクンと落ちて、そのまま停止してしまった。 |
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船長がスクリューの様子を見に来る。どうやら漁網がスクリューに絡んでしまったらしい。 船長が必死で漁網を取ろうとしているが、なにせ水の中のスクリューのこと、なかなか取れない。船は波にまかせて漂っており、動力で進んでいるときには感じなかった波の上下動を感じる。母ちゃんはこの波の上下動に弱い。気分悪そうに暗い顔をしている。これはやばいかもしれない。これ以上気分が悪くならないように願うばかりである。子供達はおとなしくしているが全然大丈夫な様子である。 |
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そうこうしているうちに地元の漁船が通りかかった。「どおしたーっ」と近寄ってくる。こちらが網を噛んで動けないと分かると、何人かが曳いていた小型の船にアクアラングを乗せてやってきた。漁師さんの一人がアクアラングをつけて船底に潜る。何とか網はとれたようだ。アクアラングの漁師さんは太い綱で作られた網の切れ端を持って浮上してきた。これが絡まっていたのでは動けるはずがない。この漁師さん達が通りかかったくれて本当に良かった。 |
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さて再びカムイワッカの滝を目指す。もと通りスピードは出るようである。良かった良かった。 |
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カムイワッカの滝は、先に見た二つの滝とは比べものにならないほど大きな滝である。この上流には「カムイワッカ湯の滝」という露天風呂がある。昔行ったことがあるが、山肌にお湯が沸き出していてその滝壺が天然の温泉になっている。滝壺までは岩肌を延々20分ほど登らなければならない。 |
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その温泉が、最後に海にそそぎ込むのがこの「カムイワッカの滝」である。お湯に含まれる硫黄分で、海水の色が変わっている。それからここは、昔日本軍が硫黄の採取を行っていたところであり、その施設が海沿いに今でも残っているのが見える。こんなものが未だに残っていることが、秘境の知床らしい。 |
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さて船はここから引き返してウトロの港を目指す。行きは海岸沿いを色々寄り道したが、帰りは一直線である。波しぶきがかかる恐れがあるので、子供達とキャビンに入る。 ほとんどスペースがなかったので子供達だけ座らせてもらい、私は船長の横で手すりを持って体を支える。全速力で走っているのだろう、かなり揺れている。 |
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遠くに宇登呂の港が見えてきた。と、その時である。また船のスピードがグンと落ちた。「また噛んだ」と船長が叫ぶ。さっきのダメージから完全に復帰していなかったのか、2基のスクリューのうち1基が止まってしまったらしい。しかし船長は今度は船を停止させようとしない。1基が動くのでこのまま港まで帰るつもりらしい。スピードは5分の1ぐらいに落ちているのだろうか、見えている港がとても遠くに感じられる速度である。 |
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船が接岸したので、子供達を連れてキャビンを出、後部デッキに行く。ずっとデッキにいた母ちゃんは青い顔をしている。心配していたように船に酔ったらしい。船から下りると文句を言い始めた。「なんで二回も壊れるん」「なによ、あの下手な運転」「大きな方の船にしとけばよかった」よっぽど船が揺れたのが気に入らなかったらしい。私は知床の断崖絶壁を間近に見ることができたので、特に不満はない。だが母ちゃんは酔って気分が悪いので、文句を言わなければ仕方がないようだ。確かに顔は、いや顔色は悪い。 |
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また清子が言い出した。「今日はしんどいから車で寝るのをやめよう」こんな時は逆らわない方がいい。「分かったホテルを探そう」と返事をした。車に戻ってからホテル探しである。ウトロ温泉の入り口手前に観光案内所があった事を思い出したのでそこに行くことにする。 |
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窓口で、案内所の女性に空き部屋を探してもらう。条件は温泉があって、料金は1万円以下である。「このホテルはどうですか」なんと料金八千円である。名前は「知床プリンスホテル」名前からして良さそうなホテルである。電話してもらい、部屋を確保することが出来た。ただし食事は7時45分からという制約付きである。 |
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さてこれからどうしよう。あんまり早くホテルに行っても食事まで退屈するだけである。それではもう少し知床を観光しよう。そこで知床五湖方面に向かうことにする。知床五湖は、ウトロより知床岬の先側に少し行ったところにある。 |
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途中、知床峠との分岐あたりに「知床自然センター」があったので立ち寄ることにする。ここには、縦12mx横20mの大画面で知床の自然を紹介してくれる「ダイナビジョン」がある。清子の具合はかなり良くなってきたみたいで、おみやげ売場を目指して突進している。 |
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このころになると、旅もだんだん終わりに近づいてきているという意識があって、「おみやげには何を買おうか」という話題も多くなってくる。だから自然とおみやげ屋に引き込まれるのであろう。しかし、いろいろとおみやげを見てみるが、なかなかいいものはない。 |
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そうこうしているうちに、ダイナビジョンの上映時間が近づいてきた。扉が開いたので中に入る。予想していたより大きい画面である。前の方の席で見れば首が痛くなりそうである。そこで、なるべく後ろの方の席に座ることにする。上映されるのは「四季知床」という題の、四季を通じた知床の自然や動物達の映像であるが、空撮がふんだんにあり、大画面の効果でまるで自分も宙に浮いているような感じになる。20分の上映があっと今に終わってしまった。 |
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上映が終わりロビーに出る。ふと見ると、台の上に誰でも書き込める雑記帳が置いてある。旅行者が感想を書くためのものだろう。今日のページに、「鹿を二頭見た」と書いてある。昔、知床でキタキツネは見たことがあるが鹿は見たことがない。「へー、運がいい人だなぁ」というのがその時の感想だが、この後、私たちにも鹿と遭遇する幸運が訪れるのであった。 |
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知床自然センターを後にして、知床五湖の方へ向かう。知床五湖は海面からすれば断崖の上にあるので、少し標高がある。そのため道は緩やかな上り坂で、両側には原生林が広がる。先程の鹿情報もあったので、みんなで道の両側を探しながらゆっくり進んでいく。奈菜は仕切りたがりなので「パパはこっち側、母ちゃんはこっち側を見てね」と本領を発揮している。 道路はしばらく直線の道が続いている。道の右側が開けだした。 |
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一番に見つけたのはおそらく私だろう。右側の開けたところに「エゾシカ」が座って居るではないか。初めて見る野生の鹿である。急いで車を止める。家族みんなも気づいたようだ。鹿は何匹居るのだろう。周りを見回してみる。1匹、2匹、3匹。どうやら3匹らしい。みんな寝そべりながら草を食べたりしている。あまり動きはない。人間にそこそこ慣れているのかそれとも距離があるので安心しているのか、こちらが写真やビデオを撮る間、逃げようともせずにじっとしていた。しかし野生の鹿を間近に見ることができるとは思わなかった。天気は良くないが、知床に来た甲斐があった。 |
鹿発見!!
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知床五湖のあたりは霧であった。そんなに濃い霧ではないが、20m先より向こうはほとんど見えない。最初に五湖を全て見ることができるらしい展望台に行ったが、見えるのは霧の海で、五湖なんか全然見えない。仕方がないのですぐに引き返す。展望台がダメなら直接見るしかない。ということで五湖散策に出かけることにした。 |
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五湖展望台
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五湖の周りには「遊歩道」が整備されてあり、一湖から五湖まで順番に回ることができる。ただし、私たちが行った時には、ヒグマが出没しているということで、三湖から五湖までの道は立入禁止になっていた。 |
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さて出発しよう。原生林の中の静かな道を歩き始める。遊歩道はきれいに整備してあるので、子供達にも歩きにくい道ではない。親をおいてどんどん先に行く。もう夕方が近いので観光客が減っているせいもあるのだろうか、観光客が多い時には人で渋滞するというこの道も、今は人が少なく実に気持ちいい。 |
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しばらく行くと、一湖が見えてきた。やはり霧に霞んでいる。見方を変えれば、霧の風景も風情がある。しばらく風景を楽しんだ後、二湖に向かう。 |
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少し道がアップダウンをはじめ、地面も湿っていたりして足場が悪くなってきた。 子供達の手を握り、滑らないように注意して二湖を目指す。両側は深い原生林である。これでは確かに熊が出てきてもおかしくはない。 |
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二湖の展望台に着いた。やっぱり霧がかかっている。ところが特に強い風が吹いたわけでもないのに、さーっと霧が晴れていく。さっきまでは対岸もろくに見えなかったのに、あっという間に対岸がはっきり見えるようになった。自然はおもしろいものだ。二湖を去るとき、最後にもう一度振り向いてみると、またそこは霧の世界に逆戻りしていた。 |
二湖
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出発してから1時間ぐらいたっただろうか、やっともとの駐車場に戻ってきた。 大人でも結構疲れたのに、その間子供達はしんどいとも言わずに元気で歩いてくれた。頼もしい限りである。これなら京都に戻ってハイキングを企画しても大丈夫だろう。今後が楽しみである。 |
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さて時間は5時である。このあたりにはもう行くところがないし、あたりはだんだん暗く、霧が深くなってきている。 夕食の時間にはまだ時間がたっぷりあるがホテルに行くことにしよう。車をスタートさせる。 |
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まもなくさっき鹿を見つけた場所だ。まだいるだろうか。車の速度を落とす。居たっ。それも道路のすぐそばまで来ている。道路脇の草を食べているようだ。車から降りて、ビデオを構える。さすがに警戒したのか、鹿はすぐに森の方へ移動していった。 |
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しかしその鹿の移動していった先を目で追いかけると…すごい。3匹どころじゃない。暗くなってきたので群れで出てきたのか、6匹以上の鹿がいる。中には立派な角を持った雄や、小さな子鹿もいる。うっすらと霧のかかった中にいる鹿の群れは幻想的ですらある。こんな光景は奈良や宮島では決して見る事はできないだろう。 |
霧の中の鹿
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あっ子鹿が走り出した。速い。子鹿でもあんなに速いのか。鹿の走る姿なんてテレビでしか見たことがない。子鹿はぴょんと跳んで茂みのの向こうに消えてしまった。 |
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名残惜しいが車をスタートさせる。しばらく車を進め、とあるカーブにさしかかったその時、目の前を親鹿2頭と、子鹿2頭が急に道路にとびだして横切っていった。びっくりしてブレーキを踏む。幸いスピードを出していなかったので鹿達をはねずに済んだ。 「最近鹿がはねられる事故が増えている」と書いてあった記事を読んだことがあったが、なるほどと納得させられる出来事であった。その後も斜面の花畑で草を食べている鹿を目撃するなど、最後は鹿づくしであった。 |
草を食べる鹿
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ウトロの町へ戻り、今夜の宿泊地である知床プリンスホテルに到着した。なかなか立派なホテルである。このホテルに一人八千円で泊まれるとは有り難い。 |
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しかし部屋に案内されて、安さの理由が分かった。部屋が狭いのである。おまけに窓が小さく景色が良くない。おそらくこのホテルの中で一番安い部屋なのだろう。でも汚い部屋ではないし、温泉はとてもきれいと聞いている。一晩過ごすだけだからこれで十分である。 |
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知床プリンスホテル玄関前
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それではお風呂に入りに行こう。というわけで「大浴場」に向かう。今日は奈菜とペアである。ここの風呂場も広かった。今までのホテルには浴槽が一つしかなかったが、ここは石の風呂、木の風呂、ジェットバスに露天風呂まである。まるで外来入浴施設である(実際外来入浴もやっているらしい)。 |
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端から順番に入っていき、一巡する頃には体がぽかぽかしてくる。体を洗ってもう一巡。その頃には体がすっかり温まってしまった。やっぱり温泉はいい。こうなりゃ最終日まで、ずっと温泉に浸かってやろう。 |
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風呂の次は食事である。 宿泊料金が安い客なので、ひょっとして料理が貧しいかもしれないと、今日は特別料理を注文しておいた。ずわい蟹の天ぷらと、貝柱のバター焼きである。席に着いてみると、まわりの料理とはそんなに変わらない。一品程度は少ないようだが、カニもちゃんと付いている。特別料理を注文しなくても良かったかなと思ったが、頼んだものは仕方ない。でもこのずわい蟹の天ぷらと、貝柱のバター焼きは結構いけた。カニ好きの奈菜も満足そうである。 |
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さあ、今日はたくさん歩いて疲れた。きっと子供達はすぐ寝るだろう。私ももちろんすぐ寝るだろう。明日は今日より少しだけでもいい天気だったらいいな。それではお休みなさい。 |
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