目覚ましが本当に鳴るか心配で、よく寝られなかった。 時間を確認してはうとうとし、また時間を確認してはうとうとする。 結局目覚ましの鳴る10分前にはきっちり目を覚ましていた。 バンクで寝ていた女房を叩きおこし、同じくバンクに寝ていた奈菜を下に移動させ、予定通り4時に出発する。 あたりはまだ真っ暗。 いかに日の長いニュージーランドといえども、完全に日が明るくなるのは6時前。 北へ移動しているのでここではもうちょっと遅いか。 ヘッドライトをつけて走行するのは、テ・アナウの土蛍ツアーの帰り以来だ。 |
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最初行った建物のところには、車なんか全然待っていない。 なんか変だ。 どうやら車無しの乗客のターミナルらしい。 聞いてみると、車の乗り場は全然違うところにあるらしい。 看板を頼りに乗り場を探す。 確かに全然違う場所に乗り場はあった。 行ってみれば、すでにチェックインを待つ車の列があったのですぐに分かった。 |
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日本ではたいてい、車を指定の列に並べて駐車し、それからターミナルビルでチェックインの手続きをする。 しかし、このフェリーでは、手続きをターミナルビルで行うのではなく、高速道路の料金所のようなブースがあって、そこで車に乗りながら手続きを行う。 チェックイン手続きを済ませた後に構内に入り、指定された場所に車を並べて待つ。 という手順になっている。 キャンピングカーのような比較的大型の車は、一般の乗用車と分けて並ばされる。 これは日本と同じだ。 |
このゲートでチェックインの手続きをする。 |
車と徒歩の乗客は先程も書いたように全然違う場所に受付があるので、同乗者も車に乗ったまま乗船することができる。 朝早くで子供も寝ているのでこれはありがたい。 しかし、航海中は、車の中に居れないようなので、子供たちもそろそろ起こさなければ。 |
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インターアイランダーの内部。列車用の線路が敷いてある。 |
5時前に乗船が始まる。 キャンピングカーは一番船底のフロアへ。 乗用車はその上のフロアへと誘導される。 船底のフロアは列車と共用のようで、レールが敷いてあり、天井も十分な高さがある。 この時は列車は乗り込まなかったが。 指示された位置に車を停止させ、エンジンを切ってギアをローに入れ、サイドブレーキを引く。 それから眠そうな目をした子供たちを連れて上のデッキに上がっていく。 一番船底のフロアから、旅客のフロアまで5階分ぐらい上がらなくてはならない。 朝からハードだ〜。 |
旅客のスペースといっても、日本のようにごろ寝ができる2等船室のようなものはない。 すべて座席である。 まぁ畳の文化がない国なので当たり前か。 椅子も乗船時間が3時間と短いせいか、リクライニング機能がない。 寝るにはちょっと辛い。 キャンカーにいる方が寝やすくて良かったな〜と思ったが、航海中に万一のことがあったら困るので、これは仕方がない。 まわりはおとなしく座っているのかと思ったら、床の上に寝ている人がゴロゴロと。 やるな、ニュージーランド人。 わたしゃそこまでする気はないのでおとなしく座っておくことにする。 |
客室内です。ごろ寝できる部屋が欲しい。 |
夜明けじゃ〜。朝日よ〜。 |
出航の時間が来たのでデッキに上がってみる。 まだ外は真っ暗。 ピクトンの町の寂しい町灯りだけが見えている。 これで南島の旅行も終わり。 南島での旅に力を入れており、北島の旅は消化試合という感じだったので、 ちょっと寂しい。 ピクトンの町灯りが遠ざかっていく。 船は狭いクイーンシャーロットサウンドの入江をゆっくり進んでいく。 しばらくすると大きく右へ回頭してさらに狭いTory海峡へ。 前方、雲の間から朝日が射し込む。 この国ではあまり朝日を見られなかったが、 夜が明ける風景というのは清々しくて、どこで見ても気持ちいい。 |
ついにTory海峡を抜けて、外洋に出た。 南島と北島の間にあるクック海峡だ。 南島は背後に遠ざかっていく。 これで本当に南島とお別れになってしまった。 |
南島の端の岬。さよなら〜南島。 |
外洋は風も強いので、船室に戻る。 椅子に座って、天井からつり下げられているテレビで、アメリカンフットボール見ていたら、知らない間に寝てしまっていた。 目が覚めたら到着30分前。 1時間も寝ていないが、それでも寝不足でぼーっとしていた頭はずいぶんすっきりした。 船の左手にはもう北島の島影が見えている。 風が強いのか、海面には白波が立っている。 |
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まもなくウェリントン。新たな旅の始まり。 |
まもなくウェリントンに到着。 ニュージーランドの首都だけあって、なかなか大きな町だ。 市街地以外にも、海岸沿いにびっしりと、また丘の上の方にもたくさんの住宅が建っている。 岸壁が見えてきた。 まもなく接岸だ。 車両甲板が開放されたというアナウンスがあり、乗客は一斉に階段に殺到する。 その人の波にもまれ、我々も一番下の車両甲板まで下っていった。 |
下船が始まる。 どうやら遅く乗船した列から下船を始めているようだ。 私のいる列の乗船は結構早かったので、下船は遅くなってしまった。 ま、急ぐ旅でもないのでOK、OK。 そして、北島上陸。 また新しい旅が始まる気がしてワクワク。 北島の第一歩として、まずはウェリントン中心部へ向かうことにする。 |
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今日は日曜日で、時間が8時半とまだ早いせいか、車通りや人通りは少ない。 特にお目当ての場所もないので、鉄道駅から議事堂へ向かう。 ニュージーランドの議事堂はその形から「蜂の巣」と呼ばれているらしい。 確かにそんな感じの建物ではある。 |
国会議事堂。ここが政治の中心。 |
さてさて、ここからの予定はまだ決めていないが、 山好きの私はトンガリロ国立公園(Tongariro National Park)方面に行ってみたい。 今日中に到着できるか分からないけどそっち方面に進むことにする。 どこまで行けるかは疲れと気分次第。 トンガリロの麓の町ワイオウル(Waiouru)まで行けたら上出来か。 今日は雲が多いので焦って先を急ぐ必要は無いだろう。 |
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ウェリントンから、1号線はしばらくモーターウェイという自動車専用道となっている。 日本の高速道路のような、2車線の快適な道で、無料。 目的地までずっと続いているわけではないので、バイパスのようなものと考えれば良いだろう。 ウェリントンを離れ、しばらく走るとモーターウェイは終了し、片側一車線の普通の道になった。 |
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海岸線を走っているせいか、予想以上にアップダウンも少なく、カーブも緩い。 思ったよりも距離を稼げそうだ。 ずっと遠くに富士山のような形をした山が見える。 あれがラストサムライという映画のロケ地にもなったマウントタラナキ(Mt.Taranaki)かな。 あれも結構標高の高い山だと思ったが、今日は雲がかかってないのかな。 そういえば北上するに従って雲が切れて天気が良くなっていっているようだ。 |
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見晴らしの良さそうな車両。鉄道好きにはおすすめ。 |
快調にキャンカーを走らせ、順調に走行距離は伸びていく。 ブルズ(Bulls)の町を過ぎ道は山あいの道に入っていく。 そして線路と併走。 ある踏切を渡ろうとしたとき、{「カンカンカン」と踏切が鳴っていることに気づき慌ててストップ。 いてままで何度となく踏切には遭遇したが、鳴っているのを見たのは初めて。 「いや〜本当に列車が走っていたんやね〜」と失礼ながら感激。 遮断機の無い踏切を列車が通過していく。 時間から判断すると、「オーバーランダー」というウェリントンからオークランドまでを結んでいる列車のようだ。 側面には「Tranz Scenic」と書いてある。 最近は鉄道の旅を楽しんでもらえるように、ニュージーランドでは展望車両が導入されているようだが、この「Tranz Scenic」と書かれた車両がそれらしい。 確かに窓がとても大きくて見晴らしが良さそうだ。 |
遮断機がないので、列車が完全に通過して、警報機の音が止まったのを確認してから車を発進させる。 また線路と併走。 さっきのオーバーランダーにはすぐ追いついた。 この列車のスピードはそんなに速くない模様。 こちらは100kmもスピードが出ていないのに抜き去ってしまった。 あのスピードでは所要時間がかかるだろうな。 おそらくバスの方が早いだろう。 本数が少ないわ、遅いわでは、いくら展望車両などを導入しても、好きな人以外はなかなか列車に乗らないだろうな。 |
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おう、丘の向こうに富士山の上部を荒削りしたような山が見えてきた。 マウントルアペフ(Mt.Ruapehu)だ。 富士山と言うよりは、御嶽山に雰囲気が似ているかな。 薄雲はかかっているがてっぺんまできれいに見えている。 緑の丘の向こうに美しい山。 ああぁ〜、ええなぁ。きれいやなぁ。 こんなにきれいに見えているなら、是非今日中にトンガリロハイキングの基地、ファカパパビレッジ(Whakapapa Village)にたどり着かなければ。 山さえ見えれば運転は苦にならない。 |
美しい〜〜。 |
この町の周辺は演習地になっている |
ワイオウルの町に到着。 道沿いにアーミーミュージアム(Army musium)というものがあって、戦車がで〜んと飾られている。 ミュージアムには入らず、とりあえず記念撮影だけして先を急ぐ。 |
ここからの道はマウントルアペフの麓を走る49号線。 右にマウントルアペフを眺めながらの気持ちの良いドライブだ。 そろそろ晩ご飯のおかずを買わなければならないが、大きな町が見つからない。 さっきのワイオウルの町で買い物しておけば良かったか。 4号線に合流してさらに北上。 ナショナルパークという町へ到着した。 ファカパパビレッジまでにある最後の町だ。 町をぐるっと回ってみたが、本当に小さな町で、スーパーというものが見つからない。 むむっ、今晩は夕食抜きか。 |
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仕方がないので、買い物もせずに47号線へ左折。ファカパパビレッジに向かう。 ここらあたりからナグルホエ山(Mt.Naguruhoe)も良く見えるようになる。 ナグルホエ山は標高2200m程度と決して高くはないが、富士山のような優美な円錐形が美しい。 トンガリロ山はそれより標高が低いく、またナグルホエの影になっているようで、どれがトンガリロ山か、良く分からない。 この山の間を抜けていくトンガリロクロッシングというトランピングコースは火山地帯を歩いていくコースで、そのダイナミックな景観で人気があるらしい。 またこの一帯はニュージーランドの原住民族、マオリの聖地。 また世界遺産 に登録されており、ニュージーランド初の、そして世界で二番目に制定された国立公園ということらしい。 |
ナグルホエが見えてきた。 |
芝生の上で読書。気持ちいい〜。 |
さらに48号線へ左折して、緩やかな坂道を登っていくと、水色の屋根をした、お城のような建物が見えてくる。 そこがファカパパビレッジである。 建物はグラン・シャトー。 ファカパパビレッジただ一つのホテルである。 最初にホリデーパークにチェックイン。 その後天気がよいので散歩を兼ねて、グランシャトーの方に歩いていく。 グランシャトーの前は広大な草原になっていて、とても気持ちがよい。 天気が良く、日差しがきついので、木陰で一服。 ナグルホエやルアペフの山がきれいに見えて、もう大満足。 頑張ってここまで来て良かった。 明日はこの辺でハイキングをしたいけど、このぐらい良い天気だったらいいな。 |
ビジターセンターを訪れるため、道を戻っていく。 グランシャトーの横を通り過ぎる際にレストランをチェック。 お城のような外観の割にはそんなに高くなさそうである。 今日の夕食はここで食べることにして、後で戻ってこよう。 |
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ビジターセンターはなかなか立派な建物で、トンガリロの歴史や地形、自然について、パネルや模型で分かりやすく展示してある。 写真集や鳥の鳴き声を収録したCDなど自然関係のおみやげも豊富で、おもわずたくさん買い込んでしまった。 天気予報も忘れずチェック。 「この2日間はとても良い天気」と書いてあるが、 日付が書いてなかったので、これが昨日と今日のことか、今日と明日のことか今一分からない。 |
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ホリデーパークに戻りシャワーを浴びる。 ここのホリデーパークは今まで泊まってきたホリデーパークとは異なり 林間サイトである。、 地形を美味く利用してあり、各サイトは木々で仕切られており、自然の中でキャンプしているという感じがする。 木々で山はよく見えず、トイレも遠いが、それでもこんな感じのキャンプ場の方が私は好きである。 |
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グランシャトーで夕食を済ませ、キャンプ場に戻り、いつもの家族トランプ。 明日は晴れるかな。 |