wood12月27日 雨のテ・アナウwood

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今日は朝から雲一つない上天気。
キャラバンパークの横にある牧場の羊も気分良さそうにめぇ〜〜っと鳴いている。

朝食を済ませキャラバンパークを9時に出発。
再び海岸沿いの道を走り、ダニーデン市街へ向かう。
帰りは陸地側の車線なので、昨日ほどの恐怖はない。
運転を誤っても、対向車を海へ突き落とすだけだ。
・・・それはそれで問題か。
ダニーデン市街へ入ったところで給油。
その後は1号線をひたすら走る。

ミルトン(Milton)という町を過ぎたあたりから、道は丘の間を縫うように走る道になる。
緑豊かな牧草地や畑のうねうねが窓の外に広がる。
とても綺麗な風景だ。写真を撮らなかったことが悔やまれる。

しかし、遮るもののない地形だからか、風が異様に強くなってくる。
テカポ直前に出会った風に匹敵するぐらいだ。
またもやハンドルをとられそうになるので、スピードを抑え目にして走る。
それでもハンドルを10度くらいきっていないとはじき飛ばされそう。

風は吹いたりやんだりするので、たちが悪い。
まっすぐの道でも常にハンドルの舵角をコントロールしなければならない。
気の休まる暇がない。
トイレルームあたりの立て付けが悪いのか、風が吹くたびにガタガタ音がしやがる。
心臓に悪い〜。
風と格闘しながらバルクルーサ(Balclutha)の町を通過する。
この町付近が、今回のニュージーランド旅行での最南端になった。
これは後で地図を見て分かったことなので、この時は特に感慨もなく通過。

さらに風と格闘しながらゴア(Gore)の町へ。
昼食を食べようと思ったが、あまり良い店もなさそうだったので、ここも通過した。
ここからは94号線を走る。

風が弱まってきたのは良いが、代わりに雲が増えてきた。
天気が気にかかる。
さすがにお腹が空いてきたので、
リバースデール(Riversdale)という町のレストエリア(道路沿いにある休憩所)でカップラーメンをすする。
ニュージーランドで売っているカップラーメンは具がほとんど入っていないし、味もいまいち。
カップ麺にもうまさを追求する、日本人の「食へのこだわり」を改めて凄いと感じる。
ラムズデン(Lumsden)の町を過ぎたあたりから、天気はさらに悪くなっていく。
窓の外はレッドタソックという草の固まりが、ボコボコとできもののように広がるタソック帯で、
山の上までボコボコしている様子は、なんか悪い伝染病にかかった肌のようで気持ち悪い〜。

テ・アナウの町に近づくと、ついに雨が降り出した。
ダニーデン出発時はあんなに良い天気だったのに・・・。
この落差はなんなんだ〜。
ウェストコーストは「天気の悪いことが多い地域」というのを改めて思い知らされる。

テ・アナウの町に入り、ダニーデンのインフォメーションで予約しておいたテ・アナウ・レイクビュー・ホリデーパーク(TeAnauLakeviewHolidayPark)にチェックインする。
雨は降ったりやんだりの状態。
鳥の本を買って以来、すっかり鳥の観察に夢中になっている駿一のために、タカヘを見に行くことにする。

タカヘは絶滅危惧種に指定されており、現在ではわずか200羽程度しか生息していないらしい。
手厚く保護がされており、観察できる場所は非常に少ない。
ここテ・アナウでは、このタカヘがシンボルになっており、この町にあるワイルドライフセンターという施設で見ることができる。

地球の歩き方の地図によると、ホリデーパークのすぐ向かいに、ワイルドライフセンターがあるらしい。
近くなので歩いて見に行くことにする。

すぐそばのはずなのに、なかなかたどり着けない。
雨は途中からざんざんと降り始めるし。
15分くらい歩いてやっとたどり着いた。
クライストチャーチのトラムの駅位置の件といい、・・教訓「地球の歩き方の地図は信じてはいけない」
タカヘは幸運なことにすぐ目の前で見られた。
まるまると太った鳥で、見た目ユニークである。
歩き方もちょこちょこっ、って感じで素早くはなさそう。
こんなおいしそうで、かつ飛べないとなると、そら絶滅寸前にもなるわなぁ。

これがタカヘ。じゅる。
再び本降りなった雨の中、ホリデーパークへ戻った。

さすがに歩きは懲りたので、今度はキャンカーでテ・アナウ中心部へ向かう。
明日のミルフォードサウンドの観光船の予約をするためだ。

ビジターセンターで観光船の予約をしようとカウンターへ向かう。
「明日の観光船に乗りたいのですが」
「出航時間がいろいろありますが、どれになさいますか」
「ここからどれぐらいかかるのですか」
「車で2時間半くらいです」
とすれば昼前くらいの便が良いのかな。

ちょっと悩んでしまったので、時間稼ぎに
「明日の天気をご存じだったら教えてください」
「ええ、もちろん知ってますよ。雨です
雨です・・雨です・・雨です・・
自信を持って言い切られてしまった。

雨です・・。この一言で気分はすっかりへこんでしまった。
ビジターセンターの外もジャジャ降りの雨・・。

「また来ます・・」

結局予約もせずに出てきた。
土蛍のツアーにはまだ時間があるので、スーパーで買い物をし、ホリデーパークに戻って夕食にする。

今日のメニューはビーフのシュニッツェル。
薄目のビーフに衣を付けてある。
これをたっぷりの油を使ってフライパンで焼くと、衣がカリッとしてなかなか美味。

テ・アナウの町にあったタカヘの像。
で、でかい!!

いざ、出発。待ってろ土蛍くん
土蛍ツアーの時間になったので、桟橋まで車で出かける。
土蛍のいる洞窟はテ・アナウ湖対岸の離れたところにあるらしいので、船に乗って洞窟まで行かなければならない。

船は一旦出発したのだが、またすぐに桟橋へ戻ってしまう。
何事だろうと思ったら、中国人の遅刻した団体を乗せに戻った様子。
ほっておけばよいと思うが、団体なので無視できなかったのだろう。
おかげで余裕のあった船内はぎゅうぎゅう状態に。
まあ仕方ないか。
船は再び出航、すぐに洞窟に着くのかと思えば、これがなかなか着かない。
かれこれ30分ぐらい走ったころに、ようやく桟橋が見えてきた。

ここにはキャバーンハウスという建物が建っていて、ツアー客は、まずここに集合し、土蛍についてのガイダンスを受ける。
カメラ撮影、ビデオ撮影は厳禁とのこと。残念。
まぁ洞窟の中では、どっちみちまともには撮れないだろうけど。
その後10人程度の小グループに分かれ、洞窟内部に入っていく。
体を屈めて、頭上に注意して歩かないと頭を打ちそうになるぐらい通路は狭い。
洞窟内を少し歩くと地底湖になっており、小舟で対岸へ渡る。
乗り降りの部分には照明が点くようになっているが、その照明を消されるとあたりは真っ暗。
小舟はガイドが天井にはわせたロープを掴んで進めていくので、音も無い。
暗闇と静寂。ちょっと不気味。

対岸へ上がり、さらに奥へ進んでいく。
通路の脇には地底の川が、轟々と音をたてて流れている。
しばらく行くとまた地底湖があった。
先程のものより少しは大きい様子。だがはっきりと分からない。
足下以外は真っ暗だから。
ここでまた小舟に乗る。
乗船が終わると照明は完全に消される。
またもや暗闇と静寂。
天井に小さな灯りが見える。
これが土蛍か。
透明感のある青い光。
青色LEDの光のよう。蛍と違って点滅はしない。しかし光の強弱はある。
この光は土蛍の幼虫が餌を誘い込むのに使うそうだ。
だから、光が強い土蛍ほどお腹が減っているらしい。

船はゆっくりと進んでいく。
天井いっぱいというわけにはいかないが、それでも幻想的な青い光を楽しむ。
しばらくすると船は岸に着く。
どこかと思えば先程乗った場所だ。
どこでUターンしたのか、暗闇の中ではまったく気づかなかった。
ここからは来た時と逆に戻っていく。
キャバーンハウスに戻ったときは、もうあたりは夕闇に包まれていた。
ハウスの中で帰りの船を待つ。

やって来た船はまだ客を乗せていた。
もう10時になるというのに、まだ見学者がいるのか。
あの人たちが帰る時間は12時近くになるだろうな。
客もツアー会社も土蛍君も大変だ。

降りてきた客と入れ違いに船に乗る。
またここから30分の船旅だ。
外は真っ暗。景色もなにも見えない。町がないので町灯りもない。
操船席のレーダーを見ながら、この船の位置を想像しながら時間を潰す。
あっ、久々の灯りだ。テ・アナウに戻ってきた。
雨が激しく降っている。
これはやっぱり明日のミルフォードはダメだな。
雨でびしょびしょになりながら車へ。
そしてホリデーパークへ。
ニュージーランドへ来て、初めて夜間の運転をする。
日が長いので今まで夜の運転はしたことがなかった。

帰りの道すがら考える。
明日大雨だったらミルフォードサウンドに行っても仕方ないなぁ。
他の場所へ行こうか。
でも他へ行ってしまうと、もうここまで再び戻っては来ないだろうなぁ。
誰もが訪れるミルフォードサウンドに行かないのも後悔しそうだしなぁ。
どうしようかなぁ。

決心が付かないまま就寝となった。

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