wood12月30日 ウエストコーストへwood

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今日、目が覚めたら、天気が非常にいい!!
昨日もそこそこ良い天気だったが、そんなレベルではない。
昨日は町周辺こそ良い天気だったが、高い山がある西の方向には雲がかかっていた。
今日はそちら方面にも雲一つない、全くの快晴だ。

もともと今日はゆっくりして、ワナカ(Wanaka)程度まで行き、その次の日に西海岸に出て氷河観光と思っていたが、こんなに晴れると話は別だ。
そう、「今日ならマウントクックが綺麗に見えるかもしれない。」
念のためインターネットで天気情報を調べてみる。
マウントクックのすぐ麓のFoxGlacierなどの天気予報は見つからないが、おなじ西海岸で一番近いHokitikaの天気は「晴れ」、ちなみに明日は「晴れ時々曇り」
今日が一番天気の良い日のようだ。
こうなりゃゆっくりしてられない。
早速出発の用意を始めるが・・・。
一つ問題があって、それはこのホリデーパークのゲートコントロールシステムによるものだ。
このホリデーパークではチェックインした人以外が入場できないように、ゲートを設けている。
このゲートを開閉するためには、チェックインした人に渡される磁気カードを使わなければならない。
チェックイン時に、このカードのデポジットとして$10を払っている。
レセプションが開く前に出ていってしまうと、この$10は返してもらえない。
レセプションが開くのは8時。
それまでは出発できないと言うわけだ。

とりあえず朝食を食べ、出発の準備を済ませ、レセプションが開くのを待つ。
8時ちょうどに待ちかまえたようにチェックアウト。
$10を返して貰った。
クイーンズタウンから6号線で、一路Wanakaを目指す。
クロムウェル(Cromwell)の町まではカワラウ川(Kawarau River)に沿った渓谷の道。
マウントクック方面とクイーンズタウンを結ぶ道のため、バスなど交通量が結構多い。
普通の車はタイミングを見てスッと抜かしていってくれるが、バスはなかなか抜かしてくれないので、こちらも気を遣う。
広いところを選んで路肩に停車し、バスを先に行かす。
これではなかなか距離を稼げない。
クロムウェルの町で、マウントクック方面の8号線と分岐。バスも減った。やれやれ。
ドゥンスタン湖沿いを北上、ワナカ直前でまた分岐。
このまま西海岸に抜ける6号線とワナカ市街に入る84号線が分かれる。
目的地から考えると6号線だが、天気も良く、ワナカ湖の景色が見たいので84号線に進路をとる。
ワナカはニュージーランド人が選ぶ、老後を過ごしたい町No.1だそうだ。

ワナカ湖の眺め。良い天気
湖周を走る道路に出て、道沿いのパーキングに車を入れる。
天気が良いせいか、パーキングは満車状態だったが隙間を見つけて何とか駐車する。
湖岸に出てみると、晴天に映えてワナカ湖の青が美しい。
遠く向こうには雪を戴いた山々がすっきりとそびえている。
うん、これならきっとマウントクックも見えるだろう。
駿一はこの旅に出てから、すっかりカメラマン気分。
今も水鳥の写真を撮りまくっている。
今までは私がカメラマンだったので、私が写っている写真は少なかったが、今回の旅では私の写っている写真もちょっとは増えそうである。
ここでの記念写真も駿一が撮ってくれた。

久しぶりのアベック写真
さぁ、ぼやぼやして曇ってきてはいけない。
ワナカを後にし6号線で西海岸を目指す。

Hawea湖から見る連山
まず右側にハウェア湖(Lake Hawea)が現れる。
ここから見る景色も素晴らしい。
湖の向こうの連山がまるで湖からせり上がっているように見える。
人工的な建築物は一切目に入らない。(地図で見ると細い道はあるようだが)
自然のままの姿。
連山は有名なものでは無いと思うが、それがこんなに美しい。
ハウェア湖から離れたと思ったら、すぐにワナカ湖が目に飛び込んでくる。
向かい側には、マウントアルバート(2064m)やマウントターナー(2150m)が雪をかぶっている。
ええ眺めじゃ。

この道路はカーブが多いので決して走りやすい道では無いのだが、窓外の景色がすんごいので、苦にならない。
おすすめのドライブルートであるのは間違いない。

湖に流れ込む川の、河口部分には原生林が茂っている。
原生林からしみ出した川が湖に流れ出すような感じ。
その向こうには白い山。
絵になる景色とはこういうことか。
もうたまらない。
道はハースト峠(Haast Pass)に向かっての登りになっていく。
山肌も草木の少ないタソックの景色から樹林帯に変化していき、雨の豊富な西海岸に近づいてきたことが実感できる。
急な上り坂を登り切ると、ここからは一気の下り。
今、ハースト峠を越えた。
しばらくハースト川の渓谷に沿った、急な下りが続く。
ブレーキを多用したせいか、焦げ臭いにおいが鼻につく。
このまま走ってブレーキが利かなくなってはしゃれにならないので、橋のところでちょっと休憩。
振り返るとマウントブリュースター(2575m)の白い頂。
もう何も言うこと無し。

白い頂がMt.Brewster。
しばらく休憩して焦げ臭いにおいが無くなったのを確認して出発。
ハースト川とランズボロー川(Landsborough River)が合流するあたりで、川幅が一気に広くなる。
白くて広い河川敷、ミルキーブルーの川の色、サザンアルプスの白い峰。
次にこの国に来る機会があれば、ここで是非キャンプを楽しみたい。
きっと最高の気分が味わえるだろう。
さらにハースト川に沿って走っていくとハーストの町。西海岸に到着だ。
時間は既に昼を過ぎているので、昼ご飯を食べようかと思ったが、後ろの乗員は寝てしまっているので、このまま走り続けることにする。
やれやれ。

ここからは海岸線沿いに北上していくことになるが、海の見える区間は少なく、ほとんどが森林沿いの中を進むことになる。
周りの景色があまり見えないので、今までの興奮の反動か、一気に眠たくなる。
だが進まなくては。・・・辛い。後ろの乗員の寝顔がうらやましい。
目的地のFoxGlacierの町が近づいてきた。
マウントクックは見えるのか。
ん?んんんんん??
なんということかぁ〜〜、ここらあたりにだけ雲があるうぅぅ〜!!
本当にここらあたりにだけ。

さすが標高0mから一気に3500mまで立ち上がる、サザンアルプスの最高峰だけのことはある。
なんて感心している場合ではない。
マウントクックの姿を見ることを楽しみにしてここまで頑張って走ってきたのにぃぃ〜。
しかし希望を捨ててはいけない。
とりあえずインフォメーションに駆け込む。
「今日は空の上からマウントクックを見ることができますか」
「はい、見られますよ」
「!!!!! しかし雲が多いように思うのですが」
「上空には雲がありませんよ」

なるほど雲があるのは下の方だけで、雲の上に出れば問題なしと。
おぉぉぉ、神は見捨てていなかったあぁぁ。
それならばと張りきってヘリコプターツアーを申し込むことにした。
フォックス氷河とマウントクック周辺を飛んで、氷河上に一回着陸してくれるらしい。
4人で$600。無茶無茶高い(T T)
しかし乗らなければもっと後悔してしまうかも。
清水の舞台から飛び降りたつもりで申し込んだ。
ツアーの開始は4時かららしい。
今は2時なのでまだ時間がある。

インフォメーションから出るとやはり山には雲。
これでマウントクックが見えるとは・・。ほんまかいな。
インフォメーションの方を疑うわけではないが、念のため実際にツアーのヘリコプターを運航している会社で聞いてみた。
「今日はマウントクックを見ることができますか」
「ええ、見えますよ」

ここまで言われたら信用するしかない。
4時までおとなしく待つことにしよう。
先にFoxGlacierHolidayParkにチェックインし、買い物を済ませ時間を待つ。
この町は本当に小さい町で、スーパーもコンビニのような小さいものがあるだけ。
大きな町までは片道3時間ぐらいかかりそうだし・・。
住んでいる人は大変だと思う。大きなお世話かもしれないが。
4時になった。
期待に胸を膨らませ、ヘリコプター会社のオフィスに向かった。
受付をしようとすると、
「今日乗るか?」
と聞いてくる。意味が分からず、
「は?」
「今はマウントクックがはっきり見えない。明日にしたらどうか」

外の雲の様子は予約したときとは変わってないように見えるが・・。
う〜む。どうしようか。
確かに今晩はここに泊まるから、明日に変更しても問題はない。

「明日だったらマウントクックは見えるのか」
「見える」

「ほんまかいな〜、なんで明日のことがそんなにはっきり分かんねん。
さっきもマウントクックは見えると言ったやないか〜」
と突っ込みたくなったが、
ここは相手の善意を信じて明日のフライトへ延期することにした。
さて延期したら急に暇になった。
まだまだ明るい時間だ。
せっかくだから、フォックス氷河の末端まで歩いていくことにする。
フォックス氷河の末端までは、FoxGlacierの中心部から駐車場まで車で10分、駐車場からは片道30分程歩かなければならない。
駐車場に車をとめて、歩こうとする。
そこへひょこひょこと一羽の鳥が。
キーアだ。クイーンズタウンで、ケージの中にいるのは見たが、野生のキーアは初めて見る。
しかしずいぶんなれているようで、人が近くに寄ってきても逃げない。
子供たちが喜んでお菓子をやったりしている。
ふと周りを見ると「キーアに餌を与えるな」と書いた看板が。
ありゃ、すみませんでした。

野生のキーア発見

向こうに見える氷河に向かって歩く
氷河の末端を目指して歩き出す。
遊歩道が整備されているので歩きやすいが、一部砂利道になっていて、その部分ではなかなか歩きにくい。
横の斜面も、上方からガレが大規模に崩れたような跡があり、ちょっとスリル。
今崩れたら終わりだな〜。

氷河の末端が見えてきた。
土をかぶって茶色くなっている部分もあるが、割れ目から見える色は淡い青色。
何百年もかけて、山の上から流れてきたんだと思うと、感慨深い。
コースの終点まで歩くと、氷河が間近に見られる。
近くで見ると、その大きさと迫力は想像を超えている。
ガイドに引率されたツアー客はもっと氷河の近くまで寄れるが、その人間と大きさを比較してみれば、氷河の大きさが良く分かる。
私ももっと近くで見たい気もしたが、氷河の末端では氷河の一部の崩れた跡がゴロゴロしているので、素人が無謀なことをするのはやめた。

青白い氷河の末端

ついに見えたぞ〜。
ホリデーパークへ戻り、シャワーを浴びて夕ご飯を終えた時、ふと窓の外を見ると、いつのまにか雲が綺麗になくなり、晴れ渡っている。
そしてその空に向かって突き出すような三角の山。
「おおぉ、あれがマウントクックじゃ〜」
やっとその姿をはっきり見ることができた。
素晴らしい〜。
その姿へ向かってヘリコプターが飛んでいく。
「今なら空から素晴らしい景色が見えるはずだ〜。今から飛行場に行くぞ〜」
と叫んでも、すでにビールをしこたま飲んで運転できる状態でないことを知っている家族は知らんふり。
う〜む、悔しい。
明日もこの天気が続くのだろうか。
日暮れが近づくにつれ、マウントクックはさらに劇的に姿を変えた。
赤く染まった夕日を受け、チーク色に山肌が染まったのだ。
ああぁ、生きていて良かった〜。
神様、仏様、ありがとうございます〜。
ワインを飲みながら、暮れていく山をぼーっと眺める。

神秘的な一瞬
えぇ一日やった。神様がくれた一日やった。

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